好循環を生み出すカギ「ワークライフバランス」
ワークライフバランスを整える重要性とは
看護師のワークライフバランスを見直す動きが広がっていますが、それはワークライフバランスを見直すことによって課題とされている「看護師不足」と「健康リスク」を解決できると考えられているからです。
人手不足に悩んでいる病院はたくさんあります。そのような病院では現場の負担が増えるため、「残業が当たり前になっている」「休みがとりにくい」といった状況になっています。しかし、それでは心身が疲弊してしまうだけです。働きたくても離職しなければならない看護師も出てくるでしょう。その結果、さらなる人手不足を招くという負のスパイラルになってしまいます。
負のスパイラルを断ち切るには、どのような環境になっても働き続けられるように勤務形態を柔軟に選択できる体制を整えておくことが必要です。看護師は女性の割合も多く、結婚や出産、介護などライフイベントによって働き方を変えざるを得ない場面が多々あります。どのような立場になっても働き続けられるようにすることで離職者が減り、人手不足に悩まされることもなくなるはずです。
また、看護師は患者さんの健康に関わる処置や判断を常に行わなければなりません。命の危機に瀕している患者さんの処置を行うこともあり、一瞬たりとも気は抜けません。場合によっては強いストレスを感じることもあるでしょう。それに、看護師の一般的な勤務体制である日勤・夜勤の交代制勤務は長時間労働になりやすく身体的にも大きな負担がかかります。心身にかかる負担をそのままにしておくと睡眠の質が低下したり、糖尿病や高血圧などの病気を発症したりといった健康リスクが高まります。心身ともに健康でなければ看護師の職務を全うすることはできないため、健康リスクの観点から見てもワークライフバランスを整えることは非常に重要なのです。
ワークライフバランスを推進している病院の事例
2019年に「働き方改革」が本格的にスタートしたことで、ワークライフバランスに力を入れている病院やクリニックも増えました。多くの病院で行っているのが、「子育てや介護などによってフルタイムで働くことが難しい人のために時短勤務や複数の勤務時間帯から選択できるように多様な勤務形態の提案」「交代制勤務の負担が軽減できるように改善する」「労働時間を管理して有給休暇を取得しやすくする」「残業を減らす」などです。また、復職支援に力を入れているところもあります。
代表的な事例として、ワークライフバランスの推進に力を入れている病院として数々のメディアにも取り上げられている武蔵村山病院の取り組みを以下に紹介していますので参考にしてください。